ベテランエンジニアから見たIBM i(AS/400)の未来
IBM i(AS/400)との出会い
AS/400アプリエンジニアのTさん(56歳)に、AS/400について色々質問していきます。早速いきますね、AS/400との出会いはいつですか?
たしか1989年頃かな。
AS/400発売の翌年ですね。
確かに。若いころ「AS/400一周年」というポスターを見た記憶があるよ(笑)。
当時コンピューター業界でAS/400は盛り上がっていましたか?
そうでもないですね。当時は多くの国産メーカーがオフコンを作っていて群雄割拠。数あるオフコンの一つという立ち位置でした
どんな仕事を?
AS/400に携わって約30年、どんな仕事をしてきましたか?
言語はRPGで、物流業界を中心に、基幹システムの新規開発と保守メンテナンスですね。90年代前半は新規開発をメインでやっていました。90年代後半からは既に作られたシステムの保守メンテナンスが増えてきました。年を経るごとに保守メンテナンスの割合が増えていき、いまではほとんど保守メンテナンスです。
最後に関わった新規開発はいつですか?
2000年ですね。
そんなに昔なんですか!2000年以降、世間でもAS/400での新規開発はあまりないのでしょうか?
2000年頃にはもう「AS/400で新規システムを作るよりは他システムを」という流れが顕著だったように思います。
どうなるIBM i(AS/400)?
Tさんから見て、コンピューター業界の中でAS/400はどのように映りますか?
「置き換えは費用がかかるので、そのまま使い続けられているシステム」ですね。
なるほど。IBMのニュースリリースでは「最新のPower9は人工知能に最適化」や「Power9はGoogleデータセンターで採用」といったものが出ており、最先端の機種のようにも見えますが、その辺りはどうでしょう?
今のAS/400ユーザー企業にとってはあまり関係ないような気がします。AS/400が人工知能に適応しても、動かすプログラムが古いものならばあまり関係ないですよね。またAS/400ユーザー企業に、すぐに人工知能が普及していくとも思えません。
なるほど。たしかに業務基幹システムと人工知能と言われても、ピンと来ないですもんね。
IBM i(AS/400)の未来は?
ずばりAS/400の未来はどうなるでしょうか?
難しい質問ですね。実は90年代半ばには既に「AS/400は近いうちになくなる」と言われていたんです。それから20年以上、まだまだ健在ですからね。
厳しい市場予測もある中、なぜ生き残っているのでしょうか。
OSの互換性が高いので、古いプログラムが動くんですよね。20年以上前に作ったプログラムがほぼ直さず動いている事例も複数知っています。
20年以上前のプログラムが動くんですか!!では極端な話、この互換性がある限りAS/400は残り続けるのでは?
増えることはないですが、減り幅は小さいかもしれませんね。そうなると技術者が足りなくなってきます。
技術者ですか?
今RPGの技術者を育てている会社をほとんど見かけません。30代中盤が最後のRPG世代だと思います。若い人は「古い技術は嫌だ」という心理が働くので、今後もRPG技術者の育成は難しいのではないでしょうか。 今後はマシン数の減少よりも技術者の減少が大きいでしょう。
なるほど、簡単に言うとこんな感じですね。
AS/400ユーザー企業はどうすればいいんでしょうか?
そうですね。数は多くないですが、RPG技術者をしっかり育成してAS/400のアプリ・ハード・保守などを包括的にサポートしてくれる会社はあります。今はそういった会社が頼りにされているように思いますね。
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